【児童精神科医・心療内科医が解説】〜東京都の自立支援医療制度(精神通院医療)について〜
こんにちわ。
江戸川篠崎こどもと大人のメンタルクリニックの院長の三木敏功(精神科医専門医)です。
通院治療を続けやすくする自立支援医療制度(精神通院医療)についてご紹介致します。(2025年6月30日の情報)
■ 自立支援医療制度とは?
「自立支援医療(精神通院医療)」は、精神科や心療内科に通院される方が、治療を継続しやすくなるように医療費の負担を軽くする制度です。
通常、健康保険では3割負担ですが、この制度を利用すると1割負担に軽減されます。
■ どんな方が対象?
-
うつ病、不安障害、統合失調症、発達障害、パニック障害などの精神疾患で通院治療が必要な方
-
お子さまから大人の方まで申請可能
-
継続的な診察、薬物療法、訪問看護、精神科デイサービスなどが必要な方
■ 自己負担の「限度額」について
自立支援医療を利用すると、自己負担は原則1割になりますが、所得に応じて「月ごとの負担上限額」が決められています。
▷ 月額上限額の目安(東京都の場合)
| 所得区分 | 内容 | 月額上限額 |
|---|---|---|
| 生活保護世帯 | 生活保護を受給している方 | 0円 |
| 低所得1 | 市区町村民税非課税で収入80万円以下 | 2,500円 |
| 低所得2 | 市区町村民税非課税で収入80万円超 | 5,000円 |
| 中間所得1 | 市区町村民税(所得割)3.3万円未満 | 5,000円(※重度かつ継続) |
| 中間所得2 | 市区町村民税(所得割)3.3万~23.5万円未満 | 10,000円(※重度かつ継続) |
⚖️ 「重度かつ継続」とは
継続的な治療が必要な場合や、毎月の医療費が高額になると見込まれる場合に認定される区分です。これに該当すると、中間所得層でも上限額が適用されます。
▷ 具体例
-
Aさん(低所得2)
月の医療費:12,000円 → 1割負担:1,200円(5,000円以内のため、そのまま1,200円のお支払い) -
Bさん(中間所得2・重度かつ継続あり)
月の医療費:25,000円 → 1割負担:2,500円 → 月額上限:10,000円のため、最大10,000円までの支払いで済む
■ 申請方法と必要書類
申請は、お住まいの区役所や保健所で行います。
必要な書類は以下の通りです。
-
医師が作成する診断書
-
健康保険証
-
マイナンバー等の確認書類
-
印鑑
-
所得確認書類(詳細は自治体へご確認ください)
■ 有効期間と更新
-
自立支援医療診断書(精神通院)の提出が「2年に1度」となります。 ただし、受給者証の有効期間は原則1年ですので、継続(更新)申請の手続きは毎年必要となります
-
更新時にも診断書が必要です
■ 当院でのサポート
当院では、自立支援医療の申請を希望される患者様に診断書を作成し、詳細な説明を行っています。
ご希望の方は、診察時にてお気軽にご相談ください
【まとめ】
-
自立支援医療制度を利用すると、通院医療費が1割負担になり、さらに月の負担額には上限があるため安心です。
-
所得に応じて負担が軽減されるので、経済的に治療を続けやすい制度です。
